大分大学医学部整形外科学講座を代表して、ご挨拶申し上げます。
整形外科は、運動器(手足や脊椎)に生じる疾患を診療する診療科です。このホームページを閲覧される若い人たちには、スポーツでケガをした人たちなどを除いてはあまり馴染みのない診療科かもしれません。しかし、手足の健康が失われたことを想像してみてください。そのままでは、自由に移動することも、好きな楽器を奏でることもできなくなります。元日本整形外科学会理事長の黒川高秀先生は。「運動器とは自己を具体化するしくみである。身体運動は人間の自由の基本であり、個人の尊厳を支える条件である。」と述べられています。
今、日本は世界に類を見ない超高齢社会を迎えています。長寿は当たり前となり、女性の半分は90歳以上の生きることができる時代になりました。元気な高齢者もいらっしゃいますが、歩行が困難な人や、身の回りのことが一人でできず困っている人が増えています。あまり知られていませんが、介護が必要となる原因の3分の1は、運動器の障害です。高齢者の増加と共に、整形外科医療の需要は大きく高まっています。
大分医科大学は、昭和46年に文部省が発表した全国的な医師不足と無医大県解消のための医師増員計画に基づいて、昭和51年10月1日に開設した。
2002年(平成14年)4月1日付けで大分医科大学腫瘍病態制御講座(整形外科学)となる。
その後、大分大学との統合に伴い2003年(平成15年)10月1日付けで大分大学医学部腫瘍病態制御講座(整形外科学)となり、さらに、その後の再編に於いて2004年(平成16年)4月1日付けで大分大学医学部脳・神経機能統御講座(整形外科学)となる。
2008年4月1日より人工関節学講座を開設した。
人が生き生きとした生活を送るためには、姿勢を保つことに加え、立つ、歩く、物を持つなど自分の体を自由に動かすことが必要です。整形外科では骨・関節・筋肉・腱・靭帯・神経など、体を動かす機能に関わる運動器の疾患や外傷を診療し治療しています。手や脚の痛み、しびれ、関節痛、腰痛やケガなど日常生活や仕事、スポーツなどの趣味に支障をきたす運動器の障害が対象です。具体的には脊椎・脊髄疾患、脊柱変形、関節疾患、骨・軟部腫瘍、手の障害、骨折・脱臼、関節リウマチ、先天異常、骨粗鬆症などを治療しています。
疾病や外傷で運動器の機能を著しく障害された場合には、手術を行うことによりその機能を回復させることが必要となります。骨・関節のbiomechanicsの研究を応用したより低侵襲手術でよく曲がる人工関節置換術、脊椎・脊髄疾患に対する顕微鏡応用した脊椎手術なども行っています。
また整形外科では、手術治療のみでなく関節リウマチや骨粗鬆症に対する最新の薬物治療も行っています。さらに明らかにされていない疾患の病態解明や新しい治療法の開発にも取り組んでいます。